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株式会社トヨタマーケティングジャパンが全国47都道府県の地方新聞社・NPOなどの活動団体と連携し、全国各地で水辺を守る活動を展開するキャンペーン「アクアソーシャルフェス」。NBU日本文理大学では、大分合同新聞社とNPO法人おおいた環境保全フォーラムとともに大分県のイベントを担うべく、2015年から毎年、学生自身が企画立案・運営を行っている。大学生ならではの視点で環境問題に向き合う彼らに密着した。

里山資源の有効活用と
環境保全を目指して。

ご家族で参加された地域の方と一緒に竹垣を作る学生。竹垣作りを通して、地域の方と交流。 ▲ご家族で参加された地域の方と一緒に竹垣を作る学生。竹垣作りを通して、地域の方と交流。

遡ること3年前。放置竹林の整備に取り組んでいた、人間力育成センターの「四季の森プロジェクト」のメンバーたちは、これまで不要なモノとして扱われてきた伐採した竹の再利用を模索していた。同時期にスタートした海岸の環境保全プロジェクトに参加した学生たちはあるものを発見する。それは海岸の環境を守るために設置されていた「竹垣」。この竹垣を新たにつくることで、里山資源の有効利用が実現し、海岸の環境保全にも役立つのでは…。「四季の森プロジェクト」で、実際に森を訪れて培った環境意識やノウハウを活かし「アクアソーシャルフェス」を企画・運営することを決意した学生たち。「磯崎海岸をアカウミガメの古里にしよう!」をテーマに掲げたプロジェクトに毎年、取り組んでいる。
 4回目を迎える「アクアソーシャルフェス」に向けて、大分合同新聞社の皆さんと打ち合わせを重ねたメンバー。まず彼らが取り組んだのは、過去3年間の活動の振り返りだった。これまでの先輩たちが作り上げたプログラムをそのまま引き継ぐのではなく、反省点や問題点を解決し、より充実したイベントに発展させたい…。話し合いを続ける中で、2つの大きな課題が浮き彫りになってきた。

12月〜2月の寒い時期、久土の森で間伐した竹を竹垣に活用。▲12月〜2月の寒い時期、久土の森で間伐した竹を竹垣に活用。
参加者に理解していただくために… 夜遅くまで会議は続く。▲参加者に理解していただくために… 夜遅くまで会議は続く。

メンバーが一丸となり、
課題解決に向けて動く。

まずは、例年、制作している「竹垣」の耐久性について。毎年、フェス当日に竹垣の竹を総入れ替えするものの、一年間、厳しい環境下に置かれた竹垣の破損箇所は多く、中には柱が折れ、竹垣ごと崩れているものもあったり、早急に耐久性の強化を図ることが求められていた。そこで、佐伯市でウミガメの保護活動に取り組む「NPO法人おおいた環境保全フォーラム」が間越海岸に設置している竹垣の視察を実施。耐久性を高めるために必要な知識やスキルを磨いた。また、林業従事者へのヒアリングも行ったところ、気温や湿度、降水量が高い時期に伐採した竹は多くの水分を含み腐敗しやすいことが判明。対応策として、これまでは3月~5月に行っていた竹の伐り出しを12月~2月に変更することが決まった。
 2つ目の課題は、参加者が活動の趣旨や目的を理解しないまま、当日の作業に取り組んでいたこと。過去に、一般参加者として参加してくれたNBU生にヒアリングを行った結果、環境保全に対する関心は高まったものの「磯崎海岸をアカウミガメの古里にしよう!」というテーマの趣旨をあまり理解できていなかったとの意見が多く寄せられた。そこで協力団体と協議し、今年は、実作業の前に「環境教室」を行うプログラム構成とし、さらにその内容もウミガメに特化したものに変更。実はメンバーのほとんどがウミガメを見たことがないということも分かり、まずは「自分たちがウミガメについての知識を深めよう!」と、実際にアカウミガメが保護されている佐伯市の間越ネイチャーセンターで1泊2日の研修を実施。実際に間越海岸に設置されている竹垣の修復作業を行うなど本番に向けて着々と準備を進めていった。
 6月の本番当日までに約1000本の竹を森から伐り出し、更にそれらの竹を6等分に切り分ける。作業は想像以上の労力を要した。「四季の森プロジェクト」のメンバー約20名は、気力を振り絞りながら時間との戦いを続ける…。

事前準備として間伐した竹を竹垣に活用できるよう約1000本の竹をそれぞれ6等分に切り分け、加工。▲事前準備として間伐した竹を竹垣に活用できるよう約1000本の竹をそれぞれ6等分に切り分け、加工。
まずは自分たちが「アカウミガメのことを知る」ために研修を実施。▲まずは自分たちが「アカウミガメのことを知る」ために研修を実施。

参加者全員の想いが
ひとつの大きな力になる。

当日の受付・運営も、しっかり学生たち自身で行う。▲当日の受付・運営も、しっかり学生たち自身で行う。

新しい竹垣の制作、ビーチクリーニング、環境教室という3つの活動を柱に迎えた、本番当日。時折、小雨がぱらつく、あいにくの天気にも関わらず、学生や地元の皆さんなど約100人が磯崎海岸に集結。開会式に続いて行われた、ウミガメに関するミニ講座では、ウミガメの生態や産卵に適した環境について、竹垣を作ることで砂の飛散を防ぎ、ウミガメが産卵しやすい環境を守る松など、生育を助けることなどを参加者に分かりやすく伝えた。
 その後、いよいよメンバーのガイドにより、海岸清掃と竹垣作りがスタート。花火の燃えかすやペットボトル、カップ麺の容器を黙々と拾い集める。参加者の一人が哀しそうに呟いた。「漂流ゴミもあるけど、明らかにここに捨てられたものがあるね…」。
 7班に分かれての竹垣作りは、木の軸に竹材を互い違いに通す地道な作業。自分たちの作業に集中するだけでなく、参加者にアドバイスを送るメンバーの姿が印象的だった。
 数時間後。高々と積まれたゴミと完成したばかりの美しい竹垣を前に「やって良かった!」、「ウミガメが帰ってきてくれるかなぁ」といった参加者の声を聞きながら笑顔をみせるメンバー。地域の皆さんとともにウミガメが命を育む古里の海を、いつまでも残したい。学生たちのチャレンジは「進化」しながら未来へと続く。

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