歴史を活かした城下町の姿とは?老朽化した駅を地域の人々にずっと愛される新しい駅舎へ。子どもたちにとってよりよい校舎のスタイルを考える…。NBU建築学科が取り組むさまざまなプロジェクト。その先は、これからの大分を輝かせる「まちづくり」の新しいカタチがありました。

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建築のバーチャル設計コンペティション「Build Live Japan 2015」(一般社団法人IAI日本主催)にNBU建築学科の「近藤研アンド池畑研」のメンバーがチャレンジ。全国の中から選ばれた課題地は、大分県杵築市。歴史と文化を誇る城下町は今、空き地が目立ちはじめ、賑わいを失いつつあった。
夏の強い日差しの中、汗を拭いながら杵築のまちを歩く。確かに空き地が点在している…しばらくしてメンバーの一人が呟いた「町家の下に川が流れていますね…」。いくつもの時代をこえて、まちの機能を果たしてきた川だが、現在は安全面などを考慮し、ひっそりと隠されていた。今はマイナスイメージが強い川を、まちの中の小自然と考え直し、プラスイメージへと転換してみたらどうだろう。川辺ではしゃぐ子どもたちを大人が笑顔で見守れる、そんな安全で楽しい親水空間があったなら…。現状ではマイナスな部分でも、発想を変えたり、付加価値を見出せばまちの魅力になるのではと考えた学生たちは、さらにアイデアを膨らませていく。「夏の夜に蛍が舞う城下町、杵築を」。美しい川には蛍が生息する。現在の空き地部分をビオトープ(自然界の生き物がありのままに生息活動できる場所)として整備することで、歴史的なまちなみを蛍の淡い光が彩る幻想空間が誕生する。そうなれば、夜間に観光できるスポットが少ない城下町エリアの問題を解決し、新たなる観光名所として全国にアピールできる。さらに自然を守りながら美しい風景を残していくという、杵築市民の皆さんの地元愛へとつながっていくだろう。
夏休みを返上し、コンペティションに向けての作品づくりに挑戦した学生たち。杵築の川を利用した「池の上に浮かぶ宿泊施設」や木材とガラスを、さまざまな角度でつなぎ合わせることで、城下町の風景を不思議に映し出す「万華鏡のような休憩室」など大学生ならではの自由で独創的なアイデアを提案した。
審査の結果、チャレンジ賞を受賞。「まちづくりで大切なことは、地元でずっと暮らしていく人を想うこと」と稲葉渉姫リーダーが語るように、今回のチャレンジを通じて、彼らの大分愛はさらに深まったようだ。

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▲町家の下に隠れた川を利用した宿泊施設の提案。
杵築のまちなみにふさわしい、風情のある外観となっている。

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駅舎の老朽化、施設の不便さや駐輪場不足など多くの問題を抱える、JR中判田駅周辺。地元自治会などから「整備事業の青写真を描いてほしい」とNBU建築学科へ依頼されスタートしたプロジェクトは3年目を迎えている。  学生は現地へ何度も足を運び問題点を自分の目で検証。階段を使わないとホームに行けないため、高齢者や身体の不自由な方にとっては利用しにくいこと、通学で利用する高校生の中には踏切のない線路を横断する危険な行為があることなどが課題として浮かび上がっている。一方で1,000人以上へのアンケート調査や地域住民との対話も実施。利便性だけでなく、景観や憩いの場としての活用など、地元住民にとって愛着の湧く駅にしてほしいという声が多く届いた。  「花」や「イベント」など具体的なキーワードを、これからどのようなカタチにしていくのか。まちづくりにつながる中判田駅の誕生へ向けてチャレンジは続く。

▲学生が提案した新しい中判田駅の駅舎。四季を感じる心地よい空間を制作した。

▲学生が提案した新しい中判田駅の駅舎。
四季を感じる心地よい空間を制作した。

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碩田中学校と住吉小学校地を活用した大分市初の「施設一体型小中一貫教育校」。平成29年4月に開校へ向けて、地域住民とのディスカッションや学校名、新校舎設計に関する打ち合わせなどが続いている。大分市教育委員会の「碩田中学校区新設校開校準備委員会」にはアドバイザーとしてNBUの建築学科、西村謙司准教授が参画。西村ゼミの学生メンバーも積極的に活動をサポートしている。  「小中一貫教育校だからと、ただ小学校と中学校を同じ建物内に設置してしまえばいいという問題ではありません」と西村准教授が語るように、小学生と中学生が同じ敷地内で学ぶことのメリットに加え、「地域」と「学校」とのつながりを感じることができる、地域コミュニティとしても機能する新しい学び舎のスタイルを教育関係者、地域住民がともに考えることが今、求められている。  そこで西村ゼミのメンバーが中心となり、今回、建設予定の新校舎の1/100スケール模型を制作。さらに、子どもたちはもちろん、地域住民とのコミュニケーションの場として期待されている校舎群と体育館をつなぐ大空間や地域交流施設などの具体的な活用プランなどについても、大学生の視点でアイデアを出し合い、議論を行った。模型を実際に見ることで施設全体のイメージがはっきりしたり、学生の活用プランをベースに議論が盛り上がれば…と、地域の皆さんが新設校に興味を持って、話し合いの場が増える「きっかけづくり」に励む学生たち。大分らしい「小中一貫校」が誕生し、地域も人も成長できる拠点となるために考えること、話し合うべきことは、まだまだたくさんある。だからこそ、学生たちは、地域や社会のコーディネーターとして縁の下の力持ちになることを誓い、実践している。

▲研究室での打ち合わせの様子。
熱い議論が交わされる。

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