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JR豊肥本線が通る豊後大野市には6駅が存在する。しかし、過疎化も進む本地域は観光アイデンティティが希薄なため、磨ききれていない魅力や活かしきれていない資源が多く、観光価値を見出せずにいた。そこで、NBU経営経済学部の学生が課題解決のプロジェクトをスタート。彼らが注目した新たなる観光スタイル。それは、ローカル線の日常だった…。

ローカル沿線の日常に
地域の魅力が眠っている。

豊後大野市緒方町にある、緒方三社の一つ「二の宮社」でポーズをとる学生。▲豊後大野市緒方町にある、緒方三社の一つ「二の宮社」でポーズをとる学生。

NBU経営経済学部では、2015年度より豊後大野市をフィールドとした活動を続けている。観光を切り口とした新たなコミュニティビジネスの可能性を探るために、同市の名所を訪問し、観光ツアープランを提案するなど順調な成果を残しているなか、昨年4月に発生した熊本地震によりJR豊肥本線は大打撃を受け、今もなお一部不通となっている。大分、熊本両県のつながりが失われている状況下で何ができるのか…本プロジェクトに参加した経営経済学部1、2年生のメンバーは協議を重ね、ひとつのテーマに辿り着く。豊後大野市を通る「沿線の日常」を体感しよう。普段使いのローカル線のなかに、観光価値が眠っているかも知れない…。真夏の太陽が照りつけるなか、豊肥本線沿線の魅力を探し、動画に収める二泊三日の合宿がスタートした。

豊肥本線の車窓から広がるのどかな風景に、「なつかしい気持ちになる」と学生たち。▲豊肥本線の車窓から広がるのどかな風景に、「なつかしい気持ちになる」と学生たち。
断崖に三尊が刻まれた磨崖仏「犬飼石仏」。凝灰岩の岩壁に掘られた文字などから、歴史の変遷を感じさせる。▲断崖に三尊が刻まれた磨崖仏「犬飼石仏」。凝灰岩の岩壁に掘られた文字などから、歴史の変遷を感じさせる。
「日本の滝百選」に選ばれている原尻の滝で、手描きのスケッチを手に撮影。▲「日本の滝百選」に選ばれている原尻の滝で、手描きのスケッチを手に撮影。
日本1位・2位のアーチ径をもつ、轟橋と出会橋。▲日本1位・2位のアーチ径をもつ、轟橋と出会橋。

学生の感性や視点で
新たなるスポットを発見。

合宿に参加した40名のメンバーは、犬飼、菅尾、三重町、豊後清川、緒方、朝地の6駅周辺と、豊肥本線を走る列車に乗り込む8つのグループを編成。初日、二日目は、メンバー自身の感性や視点で、「面白い!」、「魅力がある!」、「新しい!」と感動できるスポットを発掘することに費やした。観光マップですでに紹介されている名所だけではない、新しい観光資源や美しい風景を求めて。滝のように流れる汗を気にもせず、何キロも自転車を漕ぎ続け、険しい山道や路地裏を歩き回った。それぞれのチームが収めた「沿線の日常」の映像。そこに映し出されていたのは、ただの風景ではなかった。地元の人に教えてもらったという伝説の地蔵、宮崎駿監督「千と千尋の神隠し」のワンシーンにそっくりな田園風景、鉄橋をわたる列車のカッコ良さが120%伝わるダイナミックなアングル…それは、学生が自分たちで見つけた豊後大野市の新しい宝物。
 その後、各チームは撮影した映像と写真をもとにベースとなるストーリーやプレゼンテーションの制作へと入る。これまでになかった観光スタイルを求めて、様々な意見が飛び交う。「あえて案内図を載せず、スタンプラリー形式でスポットを探して歩いてもらおう」、「携帯の電波が届かないエリアもあるので、紙の地図は欠かせない」、「サイクリングだからこそ、吹き抜ける風や、のどかな風景を満喫できると思う」。8チームの動画と発表内容をひとつにしたプレゼンムービーがついに完成。九州広域観光シンポジウムで発表の時を迎えた。

新たなスポットを求め、さわやかな風を感じながら… ひたすらレンタサイクルで町を巡る。▲新たなスポットを求め、さわやかな風を感じながら…ひたすらレンタサイクルで町を巡る。

シンポジウムで披露した
豊後大野の新たな宝物。

シンポジウム冒頭、大黒伊勢夫大会実行委員長は、雄大な自然と人々の営みが織り成す豊後大野エリアについて「地域のそのままの日常が、旅行者には大きな魅力になるのでは」と沿線の日常が注目される観光の時代が訪れていることを示唆した。
 「鉄道沿線の日常から見えてくる地域の魅力〜学生の視点で見るぶんご大野里の旅〜」と名付けられた経営経済学部の研究発表が開始された。会場内の灯りが落とされムービーが流れ始める。数分後、明るくなった会場には、学生代表メンバーの晴れやかな姿があった。質疑応答の時間には参加者から「皆さんが感動したスポットのことをもっと詳しく教えてほしい!」、「編集でカットされた映像も見てみたい」という声が寄せられた。
 シンポジウムを終えた学生代表のメンバーが本音を聞かせてくれた。「正直、最初は何もないかもしれないなぁ…と焦りました。でもコツコツと自分たちの足で地域を巡り、さまざまな発見をするうちに、“たくさんの人にこのまちの魅力を知ってほしい”と強く思うようになってきたんです」。日常が溶け込むローカル沿線を題材とした新たな観光のあり方。その答えを探す旅はこれからも続いてゆく。

シンポジウムでの学生の発表。緊張の面持ちで本番に臨む。▲シンポジウムでの学生の発表。緊張の面持ちで本番に臨む。
シンポジウムで展示された、各チームの学生たちの手作りポスター。▲シンポジウムで展示された、各チームの学生たちの手作りポスター。
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