全国的な認知度を誇る農作物ブランドを数多く持つ大分県。その一方で、特産品のPR、従事者の高齢化、後継者不足などの問題を抱えています。今回は、それらの課題解決に向けて、NBU生が農業の現場で取り組んでいる「私たちにできること」をリポートします。

1511_nogyo_out_12

今年5月、NBUの女子学生が学部や年齢を超えて集う、N女プログラムのひとつとして取り組んだ「N女クッキング」。自分たちが暮らす大分県のさまざまな郷土料理に挑戦した際、特に美味しかったのが「カボスゼリー」。その後、夏のオープンキャンパスでも、訪れた高校生のために1000個をつくり、たくさんの方から「夏のデザートに最適!」、「さっぱりしていて美味しい」など好評を得た。それをきっかけに、大分県を代表する特産品のカボスを実際に収穫してみたいと考えたN女メンバー。インターネットで事前にカボスの種類や成分についてリサーチし、臼杵市のカボス農園へと向かった。  収穫するカボスの木は3本。たった3本ならと甘く考えていたところ、カボスは高い位置や奥の方まで果実がついており、トゲもあるので女性にとっては予想以上のハードな作業。10名で約2時間弱をかけて、ようやくコンテナ10箱分を収穫した。かなりの重労働に疲れたのでは?と思いきや、生産者の苦労や情熱を肌で感じた彼女たちは、「皮も食べられる!何にも無駄にはできない」と、持ち帰ったカボスで早速、ジャムづくりにチャレンジしたのだった。ものづくりの世界にも通じる、N女の探究心とアイデアから新しいカボスの加工品が生まれるかも知れない…。

ヘタが長いと、他の果実を傷めてしまうので、枝から切り離した後、「二度切り」をする。

▲ヘタが長いと、他の果実を傷めてしまうので、
枝から切り離した後、「二度切り」をする。

1511_nogyo_out_04

四季の森プロジェクトのメンバーが取り組んでいる、豊後大野市の特産品であるサツマイモ「甘太くん」農業体験。今年の春先、降りしきる雨のなか2500本もの苗植え作業を手伝い、天候に左右される農業の厳しさや難しさを実感した学生たち。いつの時代も土を耕し、種を撒き、苗を育て、「手塩にかけて育てている人」がいることを自分自身の心と体で感じることができる貴重な一日だった。  あれから半年。秋晴れの空の下、サツマイモの収穫のために畑を訪れた学生たち。収穫は晴天が数日続いたときに行う。その理由は、イモに水分がつくと腐りやすいからだという説明を受ける。いよいよ収穫作業がスタート。株のまわりの土を柔らかくしてイモを掘り出し、ツルをハサミで切る。至ってシンプルで特別な技術を要する作業ではない。最初は自分たちが植えた苗がここまで育ったことをワイワイと喜んでいた学生たちだが、30分も経過すると無言に…。屈み込んだままの作業は想像以上に辛い。サツマイモをひとつずつハサミで切るのは、意外と力が必要だ。何回も繰り返していると、次第にハサミを持つ指が動かなくなる。「体力だけが自慢!」と胸を張っていた学生もため息をつく。まさに気の遠くなる作業だが、休憩中の雑談のなかで「工学部の学生さんなら、こんな機械をつくってくれると助かるんやけど」、「毎年、夫婦二人だけでこの広い畑を全部、収穫するんよ」といった農家の方の心の声を聞いて、若者の意地にかけても途中で投げ出すわけにはいかないと奮い立つ学生たち。「甘太くん」という、大分県を代表する農作物のブランドを守るために、現場ではコツコツと地道な作業が行われている。収穫した山積みのサツマイモを眺めながら、生産者のこだわりと強い愛情を感じられたたことが、学生たちにとって“大きな収穫”となったようだ。

広大な敷地に約2500本の苗木を植えつけた。

▲今年5月、豊後大野市の農家の方と協力しながら、
広大な敷地に約2500本の苗木を植えつけた。

1511_nogyo_out_09

1511_nogyo_out_13

小学生を対象に、農業体験や自然とのふれ合いイベントなどのコミュニケーション活動を行っている、佐賀関「ウミネコの会」。NBUの学生たちは「ウミネコの会」のスタッフとして、継続的に活動をサポートしている。夏に開催された「さがのせき海の体験塾」に続き、今回、彼らが取り組んだのは「小学生と取り組む、稲刈りと野菜植え体験」。まずは、地元の農業名人に野菜の植え方を教えてもらい、子どもたちと一緒に冬野菜を丁寧に植えていく。その後は、田んぼに移動していよいよ稲刈りがスタート。ここで学生たちがみんなで考え、話し合っていたアイデアが実践される。それは、稲を刈る人と刈った稲を運ぶ人、2人一組になって作業を進め、どれだけ多く作業ができたかをゲーム方式で競うというもの。なぜ、このようなゲームを取り入れたのか?そこには学生たちの現場での経験が活きている。主催者である地元の農家の皆さんと、小学生は世代が離れているため、これまでに参加した「ウミネコの会」の行事において、作業の説明が分かりにくかったり、長時間、同じことを繰り返していると、子どもたちが飽きてしまうということを課題として見つけていた。  そこで今回、「楽しみながら効率の良い作業を!」というテーマを設定し、チームをつくって競争したのだ。その効果は現場の「楽しい」空気となってはっきりと現れる。とびきりの笑顔と、元気なかけ声とともにテキパキと作業をする子どもたち。彼らを優しく見守る農家の皆さん。世代をこえて「ひとつのこと」に汗を流す素晴らしい時間。学生たちにとって、農家の方たちは、人生、そして仕事の大先輩。そして自分たちより下の世代の小学生は、これからの「未来」をともに創る仲間。その世代の橋渡しを果たす学生たちの姿には「自分たちでコミュニケーションを生み出す」エネルギーが溢れていた。

自分の胸の高さまで大きく育った稲を見て、嬉しそうな表情をみせる小学生たち。

▲自分の胸の高さまで大きく育った稲を見て、
嬉しそうな表情をみせる小学生たち。

特集一覧へ戻る